交響曲第8番ト長調作品88は、以前は出版順により第4番とよばれていました。第7番以前の交響曲にはブラームスの影響が強く見られ、また第9番「新世界より」ではアメリカ滞在のあいだに聞いた音楽から大きく影響を受けているため、この交響曲第8番は「チェコの作曲家」ドヴォルザークの最も重要な作品として位置づけられています。
この交響曲第8番ト長調は出版商のジムロックとの口論ののちに、イギリスのノヴェロから出版されたため、「イギリス交響曲」とも呼ばれていますが、音楽の内容はイギリスというよりもむしろドヴォルザークの作品の中でも最もボヘミヤ的な色彩が濃厚であり、のどかで明るい田園的な印象が特徴的で、最近では「イギリス交響曲」と呼ばれることはほとんど無くなっています。
知名度の点では第9番には及ばないものの、ドヴォルザークの交響曲の中で、第9番「新世界より」についで、ひろく知られている交響曲です。特に最初の2つの楽章はきわめて独創的で、即興的でもあり、このためこの曲を交響詩と呼ぶ人も少なくありません。
第1楽章 Allegro con brio ト長調、自由なソナタ形式。4分の4拍子。
第2楽章 Adagio ハ短調、自由な三部形式。4分の2拍子。
もっともドヴォルザークらしい独創性に富んだ楽章です。
第3楽章 Allegretto grazioso ト短調、三部形式。8分の3拍子。
メランコリックで愛らしさに富んでいるメロディは、全曲の中で最も有名な楽章です。
第4楽章 Allegro, ma non troppo ト長調、自由な変奏曲。4分の2拍子。
全体は主題と18の変奏からなります。
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