技術的に考えると、言葉をしゃべり始めるのと同じくらいの時期から指を動かし始めるのがいいのでしょう。より早い時期に指を動かす訓練を始めたほうが、自分の感じた音楽を表現するために、より自然に指がついて回るようになるはずです。

　現実的には自分の力で指を使ってなんとか鍵盤を弾くことができるのは３歳以降でしょう。２歳はまだピアノを弾くことができる身体になってはいませんが、歌ったり、リズムを感じたり、お話を作って表現したり、鍵盤をグーやパーのクラスター奏法で言葉をいいながら弾いたり、先生に指を支えてもらいながら一本指で鍵盤体験をすることはできます。　「何才から始めるのがいいの？」と考えるより、音楽を楽しむ環境を、何か作りつつ、子ども自身がレッスンに耐えうる成長と発達の時を見極めて習わせるのが、実際は一番よいと思います。

　たとえば、子どもに「練習しなさい」といいつつ、親は横の部屋でテレビを見ているような状況では、子どもは何のためにピアノをやらされているのかわからなくなってしまいます。子どもにとって一番必要なことは、「早くから習う」ことよりも｢音楽がより身近に感じられる環境に生活がある｣ことでしょう。