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  ピアノの練習曲は2種類ある?


 ピアノリサイタルの人気曲のひとつにショパンの「練習曲(エチュード)」があります。バッハの「平均律クラヴィーア曲集」も練習曲の一種ですし、シューマン、リスト、ドビュッシー、ラフマニノフなど、多くの作曲家の練習曲もコンサートで弾かれます。

でも、考えてみれば、なぜ「練習曲」をプロがコンサートで演奏するのでしょうか?スポーツ選手がトレーニングを、お金をとって見せるようなもので、練習曲は練習のための曲ではないのでしょうか?

実は練習曲には2つの種類があります。一つは、文字通り「ピアノの練習のための練習曲」で、もう一つが「演奏会用の練習曲」といわれるものです。

「ピアノの練習のための練習曲」はピアノのレッスンで、生徒が練習のために弾く曲で、その曲ごとにマスターすべきテクニックがあり、それを繰り返すことで、その技巧を習得するものです。ともすると音型も単調になりがちで、音楽的にも面白みのない作品になっています。これでピアノが嫌いになったという人もいるかもしれません。

もうひとつは、「演奏会用練習曲」といわれる曲で、コンサートで演奏される練習曲です。これらは、もちろんピアノ演奏のための指の技術の習得も課題としていますが、ショパンの練習曲などは、音楽的にも完成された作品であり、より音楽的に高度な理解と表現力が求められ、弾きこなすには高度な技術と芸術的センスが必要になります。

中でも、究極の練習曲といえるのが、リストの、その名も「超絶技巧練習曲」です。「超絶技巧練習曲集」は、ヴィルトーゾとしてヨーロッパ中を風靡したリストのピアノ技術を伝える作品ですが、技巧的に難易度が高いばかりではなく、作曲家としてのリストの質の高さも物語る内容となっています。