プロのヴォーカリストになるためのテクニックやトレーニングについて解説しています。

フェイクとは

診察を受ける子ども

フェイクとは、一言でいうと、歌のメロディをベースにしたアドリブのことです。ですので、楽譜には載っていない自分だけのメロディを即興でアレンジしながら歌を歌っていきます。

 

フェイクとはブルースを音楽的なルーツに持つ黒人シンガーによって生み出されたテクニックで、スタンダードナンバーのメロディを崩しながら、民謡のこぶしのようなフレーズを歌います。

 

フェイクとは「贋作」とか「にせ物」といった意味です。つまり実際のメロディとは違ったメロディを歌うことからこの名前が付けられたのでしょう。

 

民謡や演歌のこぶしとフェイクが何となく似ているのですが、決定的な違いはその歌い方にあります。民謡はながれるような唱法でこぶしを作る、いわば曲線的な唱法です。それに対して。R&Bでは一音一音を際立たせて歌います。言い換えれば滑らないように歌います。

 

このフェイクを自分のものにすることができたら、黒人系の音楽はマスターしたといってもいいでしょう。それほど。このフェイクは黒人音楽の本質が凝縮されているのです。


フェイクをマスターする法

フェイクを歌うためには、まずフェイクを知らなければなりません。しかし、日本ではこの唱法は歴史的にまだ浅く、お手本となるシンガーがあまりいないのが残念ですが、フェイクを勉強するにはまずコピーから入るのが最短の上達法です。

 

それも中途半端なコピーではなく完全にコピーするくらい、フレーズの一音一音まで細かく分解してコピーをするのです。

 

日本人がフェイクを真似て失敗しているパターンは「何となくフェイクっぽい感じ」で歌っているからです。そういった場合、たいていフレーズが流れてしまっています。音程にするとなだらかな曲線で、民謡のこぶしのような感じになっています。

 

本来フェイクというのは、一音一音が独立した音程になっていて、それが連続しているものです。ですから、ちょっと聴くとフレーズが流れているように聴こえますが、実際にはとてもメリハリのある連続した単音の集合体だということがわかるはずです。

 

ですので、完全にコピーするくらい細かく聴き取り、ゆっくりと真似をしていくようにするのです。

 

いろいろなシンガーのフェイクをコピーして覚えて、自分の引き出しを増やすことはとても大切なことです。そこから自然に自分らしい、オリジナルなフェイクを完成させていきましょう。