ビブラートとは、演奏や歌唱において音を伸ばすとき、その音を保ちながら、音の高さを揺らすことです。ビブラートは音楽のジャンルによっても変わり、クラシック型(無意識音程型)、演歌型(意識して入れる音程型)、フォーク型(音量型)に分けられ、また曲のテンポや会場の残響時間に合わせて調節されます。
クラシックの歌唱ではビブラートを意識とした練習は行わないのが普通ですが、熟練するに従って自然にビブラートが入るようになるとも言われています。その場合ビブラートは無意識にずっと入っている状態で、ノンビブラートになることはありません。代表的な歌手ではキャサリン・バトルがいます。
独唱においては
「迫力のある生き生きとした」印象を与えるビブラートですが、合唱においてビブラートは響きを損ねるものとして慎むべきとされています。その理由としては、ビブラートをつけない独唱では「はっきりした、澄んだ」印象を与えるビブラートですが、和音で響きを作っていく合唱では、ビブラートをつけると倍音構造がはっきりしなくなるために「ぼんやりとした、にごった」印象になるためです。
現在、合唱指導においては澄んだ響きが重要視されていますが、一方で歌唱に表現力を求めるのであれば、「迫力のある、生き生きとした」印象をもたらすビブラートを使用することも考えられるのではないでしょうか。
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