ステージ上で発せられた声が、ホールの一番後ろまで十分に届いているような状態を、「声が飛んでいる」といいます。音が飛んでいるときはステージで歌っている人数以上に声量が感じられ、飛んでいない時はその逆に感じられます。飛ぶ声は、ハーモニーに必要な倍音も多く含んでいますので、日頃の練習では常に声を飛ばすことを意識的に行うことが大切です。

　では、「飛ぶ声」を作るためにはどんな方法が良いのでしょうか。声を飛ばすためには、喉をリラックスにして、自分の斜め前方に意識的に声を出すようにします。自分の斜め前方に流れが感じられる声は飛んでいる場合が多いのです。

　イメージ的には、声をビジュアル化するといいと思います。響きのボールをお腹の中にしっかりとイメージし、そのボールを身体から「切り離す」ことを意識して発声します。ポイントは「響きのアクセントを頭に持ってくる」ことです。

　呼吸のリズムで発声することを忘れずに、大切にしながら、アタックを意識して発声してみましょう。この時、「緩めた身体に響かせる」ということは、すべての発声の基本となるので、そこをしっかりと意識しながら声を飛ばしてみましょう。