ヴィオラが誕生した場所と時期は正確にはわかっていませんが、同じヴァイオリン属のヴァイオリンと同じ頃、すなわち16世紀前半に北イタリアで使用されはじめたことは間違いないようです。 ヴィオラという呼び方が定着したのは18世紀になってからです。それまではヴィオラ・ダ・ガンバ(脚で支えるヴィオラ)と呼ばれて、いろいろな種類の弓奏弦楽器(弓で弦を弾いて発音する楽器)を指す用語でした。 18世紀の中頃まではオーケストラの中でしか使用されていませんでしたが、弦楽四重奏が盛んになるにつれて、室内楽にも欠かせない楽器となりました。そして、独奏楽器として認められるようになったのは18世紀後半からです。フランス語でヴィオラが「アルト」と呼ばれているのは、この楽器がヴァイオリン属のなかで中音域を担当するからです。