プロのヴォーカリストになるためのテクニックやトレーニングについて解説しています。

先ず発声、つぎに発音

診察を受ける子ども

ヴォイス・トレーニングでは、最初は声を作ることが主で、その声で歌うことは最終目的となります。

 

ですから「アエイオウ」などの発音、発声のトレーニングでは、最初から必要以上に口をはっきりと開ける必要はありません。

 

口は普通にしゃべる時くらいに開けるだけで、本当に声が身についていれば充分に歌えます。口をはっきり動かしすぎると、口先のことばになるので注意が必要です。

 

外人のヴォイス・トレーナーは、日本人は声が出ないのに、なぜ口だけを不自然に動かすのか首をかしげます。これは発声をのどを開けるのではなく、口を開けると教えられた人のおかす間違いです。口をパクパク動かすことによって声はあまり出なくなります。

 

口をあまり開かないと、きちんとした声にするには体を使うしかありません。そうした制約の中でトレーニングをした方が、時間はかかっても着実に伸びます。

 

まず、お腹から声をだすために胸から上の部分、特にのどやあごの力を抜いてください。首筋をまっすぐにして、あごは引いてください。

 

確実に声として出せるようになったら、きちんとした日本語に聞こえるように整えていけばいいのです。声が正しく出れば、おのずとうまく響くようになります。音によって「ア」では響くが「イ」では全くでない、というようなこと起こりません。

 

響きや明瞭な発音より、確実に声にすること、声を体でつかむことを念頭においてトレーニングを行うようにします。

 

発声トレーニングとは、常に邪魔するものを取り除くことです。響きや口先だけで発音や高音の問題を解決しようとすることは、その場しのぎの解決にしかなりません。シンプルに体が使えるようになるまでは、声そのものの完成を待つことです。